昨日、自分自身の考え方のパターンを知る方法として、3コラム法と自分の事例を紹介させて頂きました。
今日は、認知療法のステップ2として【考え方の幅を広げる】方法について書いていきます。
【出来事、感情、自動思考】を観察して自分の考え方のクセを知る
昨日の復習です。
自分の考え方のクセを知るためには、出来事(客観的な事実)、感情(自然に感じる感情)、自動思考(勝手に湧いてくるおもい)を紙に書き出すことで、自分の考えを客観的に見ることができるようになります。
また、この書き出すということを一定期間、継続して行うことで、考え方のクセがぼんやりと見えてきますよ、ということをお伝えさせて貰いました。
さらに、昨日お伝えできなかったポイントを2つ。
この書き出して整理することを何パターンか行うと、以前と同じシチュエーションでないにもかかわらず、似たような考え方をしていることに気がつかれると思います。
この作業は、そのことを目的として行うため、自分のパターンが見えることは喜ばしいことなのですが、それが自分にとって嫌なパターンだった場合、その嫌なパターンを自分で自分に突きつけることになるので、少し苦しみを感じるかもしれません。
現に、自分は感じました(苦笑)
復職・就労支援プログラムでぼくに先立って、認知療法を行っていた方も同様の経験をされていたようです。
その時の対処法を簡単に。
①過去の自分を受け入れる(マインドフルネス)
過去の自分のなかに、嫌な面がみえてきても、過去の自分を否定しないでください。
過去はどうすることもできません。
過去の自分をそのまま受け入れようと思ってください。
そして、受け入れてください。
自然とそれだけで苦しみが和らいでいくと思います。
②宝箱をみつけよう(楽しい時間)
過去の自分を受け入れたあとは、お楽しみ時間です。
過去の自分を自分と思わずに、第3者をみているようなつもりで、宝箱をみつけるようなつもりで、自分のなかで偏っているクセは何なのか?を探してみてください。
こういう風に考えてとりくむことで、とても楽しみながら認知療法を行うことができました。
考え方の幅を広げる
それでは、自分の考え方のクセがわかったら、どうしたら良いのでしょうか?
クセは身についてしまっていますので、ついつい同じパターンを辿ってしまいがちです。
そこで、考え方の幅を広げるトレーニングが必要になってきます。
そのトレーニングのことを認知療法で7コラム法とよんでいます。
7コラム法では、①出来事、②感情、③認知(自動思考)、④根拠、⑤反論、⑥合理的思考、⑦結果の7つをみていきます。
出来事、感情、認知は、3コラムと同じです。
根拠、反論、合理的思考、結果が新しく追加されました。
それぞれについて、説明していきます。
「根拠」は認知した理由です。
根拠には認知をした理由、わかりやすく言うと「そう考えた根拠(証拠)は何ですか?」を書き出してみましょう。
「反論」は認知とは矛盾する仮説をたてましょう。
自然に頭のなかに浮かんできた考えが「認知」です。
ここでは、認知とは矛盾する考えを書き出してみましょう。
「合理的思考」は代わりの考えはないでしょうか?
自然には浮かんでこなかった考え方をしてみましょう。
ここが7コラム法の難しいところであり、味噌となるところです。
新しい考えを出すためのコツとして、次の視点を参考にして考えてみましょう。
①何か、見落としている事実はありませんか?
②絶対にそうだと言い切れるでしょうか?
③友達や家族だったら、何とアドバイスしてくれるでしょうか?
④友達や家族が同じように困っていたら、何と言ってあげますか?
⑤自動思考が現実になる可能性はどのくらいでしょうか?
⑥逆の立場だったら、どのように思いますか?
⑦以前、似たような体験をしたとき、どんな対処をしましたか?
⑧他の人なら、この状況に対してどのように考えるでしょうか?
⑨今のあなたは、この状況に対してどんなことができそうですか?
⑩他に何か役に立ちそうな考え方はありませんか?
合理的思考をしたら、感情は変わりましたか?
合理的思考をしたときの気分を数値であらわしてみましょう。
3コラム法のときの感情と違いはありますか?
例題をもとにして、7コラム法をやってみましょう。
Bさん、35歳、会社員。
真面目で細かいことにこだわる性格の中堅サラリーマン。
とある日の企画会議で、上司より問題点を指摘されました。
Bさんは、サポートしてもらえると期待していた上司よりダメ出しされたことで次のように考えました。
・仕事ができない人間だと思われているに違いない。
・もうダメだ。この企画は絶対にうまくいかない。
・プロジェクトからもはずされるだろう。
その後、上司と顔をあわせ辛くなったBさんは、不安や落ち込みといった感情に支配され、会社を休むようになってしまいました。
このBさんの例を参考にして、7コラム法でみていきましょう。
こんな感じです。
【参考例】自分の場合
この7コラム法は、自分自身、実践途中です。
昨日、紹介した3コラム法であげた事例について7コラム法でみてみましょう。
【1件目】ラーメンまつりで行列に並んでいるときに割り込まれた。
※ 頭のなかで7コラム法をやっていると、割り込んできた人はスタッフに注意されて抜けていきました。
【2件目】夢のなかで仕事をしていて、上司より理不尽なことを言われた。
◆最大多数の最大幸福とは
人と人の間には利害の衝突があり、全ての人が幸福になることはありえないので、少数の犠牲があってもできるだけ多数の人が幸福になることが全体の幸福であると考えました。つまり、理想論としてではなく、現実問題としての幸福論を唱えたわけです。
ちなみに、僕がこの考え方を知ったのは、次の書籍です。

これからの「正義」の話をしよう (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
- 作者: マイケルサンデル,Michael J. Sandel,鬼澤忍
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2011/11/25
- メディア: 文庫
- 購入: 4人 クリック: 204回
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約7年前の書籍ですが、当時ベストセラー入りしてたと思います。
語り掛けるように書かれている内容のため、わかりやすく読めて記憶に残ったのを覚えています。
【3件目】知人との世間話中に、説明がわかりやすいと褒めてもらえたとき。
上記3例は、自分自身、試行錯誤しながらの7コラム法です。
まだまだ改善の余地があるかもしれません。
代案も、きっと他にもあるでしょう。
途中経過を掲載することで、お読み頂いている方の混乱になってしまったら申し訳ないのですが、一応「書き方、考え方はこんな感じでよいですよ」とセラピストの方からいって貰えているので紹介させて頂きました。
今日のポイント
試行錯誤中の自分がいうのは何ですが、7コラム法を行うポイントは、とりあえずやってみることだと思います。
3コラム法より項目が4つ増えて、7つと多い項目になっています。
項目が多いだけでなく、根拠、反論、合理的思考と難しい言葉が並んでいますが、やってみると案ずるより産むがやすしで、意外と簡単に書けたりしますよ。
とっかかりを簡単に感じてもらえる昔話を。
この7コラム法は、1960年代にアーロン・ベックという精神科医が考案しました。
ベックさんは、うつ病患者を多数みていくなかで、うつ病の方は、悲観的な思考をもっていることに気付き、その思考を改善させる方法として7コラム法を考えたのです。
この7コラム法を書籍にしようと持ち込んだ出版社では、こんなの当たり前で簡単すぎる内容なので書籍にするほどではないよと突っ返されたといいます。
しかし、今やうつ病等精神疾患の治療法として、広くつかわれる程になっています。
この当たり前、簡単、効果があるという3点があるからこそ広まったとも言えるとおもうのです。
どうか、皆さんの人生をより良いものにするためにも、精神疾患を予防するためにも、そして、僕と同じように精神疾患で苦しんでいる仲間にとっては症状の緩和のために、実践してみることをおすすめいたします。
つづく。
今日は以上です。
明日は、認知療法のすすめの最終回です。「行動によって確認する」について紹介させて頂きます。
それではまた、明日、お会いしましょう。
でつノ