昨日、認知療法のすすめの1回目として、認知療法の概要を説明させて頂きました。
今日は、認知療法のステップ1として【自分自身の考え方のパターンを知る】方法について書いていきます。
認知がズレていると感情、行動に影響がでてしまう
昨日のポイントを軽くおさらい。
【出来事】に対して、【認知】(どう受け止めて、どう考えるか?)することで、【感情】に影響がでてきます。
感情によって、【行動】に影響がでてきます。
その行動した結果が出来事となり、新たな認知を呼び起こし感情、出来事、行動のスパイラルにはまっていきます。
うえで考えた認知、「仕事ができないと思われている」は客観的な事実なのでしょうか?上司や同僚と意見があわないことなんて、いくらでもあるでしょう。
ひとつの出来事で意見があわないことがあっても、それでその人のことを全否定されたわけではないのです。
この場合、改善すべき必要があるのは、出来事なのでしょうか?
いやいや、違いますよね。出来事に対して、どのように受け止めたのか?という認知を点検して、その認知が客観的でなかったならば、客観的な考え方、受け止め方ができるようにトレーニングしていく必要があるのではないでしょうか。
自分自身の考え方のパターンを知る
上の例題より、自分の考え方のパターンを知るためには、以下の3点を観察する必要があることがわかります。
1点目:出来事
2点目:認知
3点目:感情
この3点を観察することを認知療法で3コラム法とよんでいます。
昨日のAさんの例でみてみましょう。
出来事はそのままです。
感情は、不安、怒り、悲しみ、失望、不満等、そのときに感じたことと、その強さを0~100%であらわしてみましょう(そのパーセンテージは主観でよいです)
認知は、その出来事に遭遇したときに、自動で浮かんできた思い、感じたこと、考えたことです。
これだけです。
簡単でしょ?
簡単すぎて、拍子ぬけしてしまったかもしれませんが、実際に紙に書き出してみることで、自分を客観的にみることができます。
また、書き出すことで、自分自身の頭の整理にもなっていきます。
1週間を目途に、日記をかくようなつもりで「気楽に考えて、完璧に書こうと思わずに」続けてみることが大事です。
仕事での失敗、人間関係の軋轢といったあきらかにストレスを感じるとされている事以外でも、結婚、昇進、仕事の成功といった喜ばしいことでもストレスを感じるとされています。
日常生活での点検がおわったあと、さらに余裕がある場合は、こういったストレスに対して遭遇した場合の振りかえりを行ってみると、新たな発見・気づきが得られるかもしれません。
上記、【ストレス点数表】の完全版は下記URLを参照ください。
http://www.shinwa-kai.jp/data/documents/score.pdf
【参考例】自分の場合
この3コラム法は僕もやってみました。
僕の行った内容を書いておきますので、「仮面うつは、こんなに極端な考え方をしているヤツなのか!」と笑ってやってください。
そして、こんな感じで書き出したらいいんだな、と感じて頂けたら、ここに恥を忍んで事例を紹介した甲斐があったと思います。
休職に至った経緯の振り返り
僕の仮面うつ病の症状はハッキリしています。
それは、激しい胸痛です。
その胸痛がはじめて起きた時期(2016年5月)にさかのぼって、自分自身の認知のあり方を振り返りました。
勿論、約2年前のことの振り返りのため、記憶に頼るところが多かったのですが、当時のお薬手帳、ノート、日記、メール、ライン等の情報をもとに出来る限り、正確に振り返るように心がけました。
1つ1つを書き出すと膨大になるため、振り返りを行った結果、自分のパターンがみえてきましたので、それを紹介します。
【自分のパターン】
- 少しのことを針小棒大にとらえて、将来に対して大きな不安、心配をかかえこんでしまう【取り越し苦労】
- 転職、異動・引越し等で新しい環境に直面したときに、自分の肉体・心を過信して頑張りすぎてしまう【若さへの慢心、驕り】
- 40歳過ぎでの転職だったため、失敗は許されないと思う気持ち、メンバーの模範になりたい・仕事ができる人間という評価を受けたいという思いが強い【すべき思考】
- 何か問題がおきた場合に、「自分のせいだ、自分が悪い」と自分を責める傾向が強い【自己関連付け】
そして、何より愕然としたことが
自分を客観視できていなかった
ということです。
昨年夏、総合病院で異形狭心症、期外収縮の診断をくだされたときに、「ストレスを抱え込みすぎないように」というアドバイスをもらっていたのですが、当時は、上記1~4をストレスだということに気付いておらず、それが普通だと思っていたのです。
今から思えば、よくもそこまで自分に対して盲目になれていたものだと、ある意味感心できるほどです(笑っていただく場所ですよ)
日常生活でストレスを感じた出来事の振り返り
休職にいたった経緯を振り返ったあと、日常生活でストレスと感じた出来事についても、振り返りを行いました。
【1件目】ラーメンまつりで行列に並んでいるときに割り込まれた。
<出来事>ラーメンまつりで行列に並んでいるときに、割り込まれた。
<感情>イライラ60%、怒り80%
<自動思考>
・こっちは寒い中、きちんと並んでるのに割り込んでくるなよ。
・イベントスタッフ、無視してないで注意しろよ
・なんでこんなに行列の流れが悪いんだよ、お店のスタッフの手際がわるいんじゃないのか
【自分の想定、おもいと異なることが起きた時に心が乱れる】
【2件目】夢のなかで仕事をしていて、上司より理不尽なことを言われた。
<出来事>
夢のなかで、上司より理不尽(他の人を傷つけること)なことを指示されて、言うことをきかなければクビにするぞと脅された。
<感情>不満100%、怒り90%
<自動思考>
・なんでそんなことをやらないといけないんだよ、理不尽なことはやりたくない
・でも、指示を守らずにクビになったら今後の生活が困るな
・ボケ上司め、変なことゆうてくんなや
【自分の想定、おもいと異なることが起きた時に心が乱れる】
【3件目】知人との世間話中に、説明がわかりやすいと褒めてもらえたとき。
<出来事>
うつ病、マインドフルネスと左脳、右脳の関連について、知人に説明をしたところ、わかりやすいと感心してもらえた。
<感情>
うれしい70%
不安40%
プレッシャー50%
怖さ40%
<自動思考>
・自分のことを説明上手な人としておもってもらえたかな
・自分の考えを上手に伝えることができた、うれしい。
・マインドフルネスをつづけてきてよかったな
・これから変なことをしゃべれなくなったな
・高く評価してくれたこの評価を下げたくないな
・これからもきちんとしないといけないな
【心の先読み】
【すべき思考】
※人から褒められるという嬉しい出来事に対しても、人の心の先読み、将来を勝手に先読み、すべき思考によってストレスを感じていた事例として紹介します。
今日のポイント
自分自身、3コラム法を行った結果、今日のポイントは、頭でっかちにならずに脚下照顧することが大事だと思うのです。
世の中には自己実現本、ハウツー本などで、人生に成功するために参考となるノウハウがあふれています。
僕自身、若いころ(阪神大震災後)、知識人の第一歩として、20代のうちに書籍を1000冊読もう、成長するためには努力を続けないといけない、努力をやめたら停滞ではなく、堕落のはじまりだ、と思って一生懸命生きてきたつもりでした。
しかし、そういった努力は自分の立ち位置、性格、自分の考え方のパターンを知ったうえで、自らの弱点を補強して、長所をさらに磨くためによしとされることだったんだと思うのです。
自らを客観視できていなかった自分は、いくら頭のなかに知識をつめこんでも、いくら努力したつもりでも、イカリの下りていない船のようなもので、幾つになっても心が休まることはなく不安定な人生だったのです。
つづく。
今日は以上です。
明日、「考え方の幅を広げる」ための方法と自分自身の事例を紹介させて頂きます。
それではまた、明日、お会いしましょう。
でつノ