インプラント治療では、保険適用外の治療となるため、費用がかさんでしまう。
インプラントを受けるまでは、手術費で数十万円かかるんだなと漠然とおもっていたが、実際に治療を開始すると、想像以上にお金がかかっており、休職中のお財布事情に大ダメージをくらっているのだ。
具体的には、
1.治療前にインプラント治療が受けれるかどうかの検査(CT検査)
2.型取り(サージカルガイドの作成)
3.土台を埋め込む手術
で、358,710円(税込)かかっている。
「総額でこのくらい掛かるだろう」と思っていた額に、途中段階で到達しており、手術の完了と保証をつけたら、総額70万(税込)近くかかる見積もりとなっている。
お財布にかかるダメージを少しでも軽くしようと、医療費控除の手続きを行ってきたので、その話をしようと思います。
「数年前にインプラント手術を受けたけど、医療費控除を受けてないわ」という方や、
「これから、インプラント手術を受けるかどうか迷っている」方にとって、参考になれば幸いです。
インプラント治療は医療費控除の対象です
インプラント治療は、全額、自費診療で医療費控除は受けれないと思っていたのだが、調べていくと、医療費控除を受けれることがわかった。
国税庁のホームページをみると、
歯科医師による診療又は治療の対価で、その病状などに応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額は、医療費控除の対象となる医療費に該当します。
とあり、”病状に応じた一般的な水準を著しく超えない部分の金額”は医療費控除の対象になるという。
一般的な水準、僕の財布事情としては、治療費35万は高額だと思うが、病状(インプラント治療)としては想定の範囲内ということで、医療費控除を受けることができるのだ。
ここは、歯科医院で教えてもらえなかったのだが、一般常識なのだろうか?
僕のように、知らない人間もいるので、歯科医院からアナウンスして頂ければ助かるのに、と思うのは、僕だけだろうか。
同じインプラントでも医療費控除が受けれない場合もある
上記のように、原則、医療費控除を受けれるのだが、例外として、医療費控除を受けれない場合もある。
そのパターンは、欠損歯の治療ではなく、美容を目的とした治療の場合、医療控除を受けれないとされている。
そのため、見た目重視でインプラントされる方は、医療費控除を受けれないことを念頭においていただきたい。
医療費控除の対象/対象外の一覧表
国税庁のホームページを参考に、歯の治療における、医療控除を受けれる/受けれないのパターン表を作成してみた。
インプラントに限らず、歯の治療で医療控除を受けれるかどうか?の参考としてもらいたい。
治 療 内 容 | 医療費控除 | |
受けれる | 受けれない | |
虫歯や歯周病、入れ歯、顎関節、噛み合わせの改善などの一般治療 | 〇 | |
歯を失った場合のインプラント | 〇 | |
金の詰め物 | 〇 | |
ポーセレン(セラミック)の詰め物 | 〇 | |
子供の成長を阻害しないようにするために行う不正咬合の歯列矯正 | 〇 | |
発音障害の改善などが目的の矯正治療 | 〇 | |
美容目的のインプラント | 〇 | |
容貌を美化するための歯列矯正 | 〇 | |
治療のための通院費(公共交通機関) | 〇 | |
小さいお子さんの通院に付添が必要なときなどは、付添人の交通費 | 〇 | |
治療のための通院費(ガソリン代、駐車場代) | 〇 |
整理すると、
①美容目的とした治療は控除の対象外。
②治療のための交通費は控除の対象となるが、公共交通機関に限る。
となります。
医療費控除の手続き
医療費控除は、1月1日~12月31日に10万円以上支払った場合に、翌年1月1日~5年後の3月15日まで申告することができる。
それでは、医療費控除を受ける場合、どこで手続きをすればよいのだろうか?
税務署
最寄りの税務署で申告手続きを行うことができる。
方法として、
1.税務署の窓口で手続きを行う
2.自宅からインターネットの国税電子申告・納税システム(e-Tax)で申告する
の2通りがあります。
僕の場合は、税務署のお世話になるのが初めてで勝手がわからなかったのと、休職中でヒマなためウォーキングがてら、名古屋中村税務署の窓口で手続きを行うことにしたのだ。
必要書類
「医療費控除をうけるために必要なもの」として、下記を持参した。
- 平成29年度の源泉徴収票
- インプラント治療の領収書
- 銀行口座通帳
- 印鑑
インプラント手術は、今年(平成30年)おこなっているが、治療費は検査段階時(平成29年)に支払い済のため、平成29年度の源泉徴収票と歯科医院の領収書を持参した。
もし、読者の方で今年の治療費を申請したい場合は、来年の1月1日以降に税務署に申告するといいだろう。
手続き
確定申告(2月16日~3月15日)ではない時期に訪れたためだろう、税務署の窓口はガラガラだった。
受付を済ませると同時に、打合せスペースに促され、そこで職員とマンツーマンで申告資料を作成した。
インターネットの国税電子申告・納税システム(e-Tax)
申告資料は、書面ではなく、インターネットのe-Taxを使用して、必要事項を入力していくかたちで手続きをすすめていった。
申告書類の作成ははじめてであり、e-Taxも使ったことがないことを伝えると、入力欄に何を入力すべきかをその都度、指示してもらえたので、ずぶの素人でも迷うことなく入力することができた。
親切なおっちゃん、ありがとう!
所要時間
窓口が空いていたこともあるのだろうが、受付から終了まで約20分程で終わらせることができた。
帰りに、e-Taxで入力した写し(印刷)をもらって帰路についた。
「医療費控除をうけたいけど、行く時間がないわ」という方も、30分程の時間があれば、いってみてはどうだろうか?
実際、どのくらい帰ってくるの?
ここからが、皆さん、聞きたいところだろう。
医療費控除を受けたら、どのくらいお金がかえってくるの?
申告してから、どのくらいの期間で銀行口座に振り込まれるの?
僕もそれが目的で医療費控除をうけたため、非常に気になるところで、手続きをしてくれたおっちゃんに教えてもらった。
どのくらいお金が返ってくるの?
手元に戻ってくるお金は、【〇〇万円払っていたら、△△万円かえってくる】といった単純なものではなく、複雑な税金の計算方法によって、戻ってくる額が決定される。
簡単にいうと、同じ医療費を支払っていても、”高い税金を支払っている人ほど、戻ってくるお金も大きい”のだ。
具体的な計算としては、医療控除額に所得税率を掛けたものがかえってくる。
次で、控除額と戻ってくるお金の計算方法についてみてみよう。
控除額はどうやって求めるの?
医療費の控除額は、以下の計算式で求められる。
[1年間の医療費]ー[保険金等の受給額]ー[10万円または、所得税額の5%]=医療費控除額(上限200万円)
上記式にあてはめて計算すると、
358,710円 - 0円 - 100,000円 = 258,710円
が控除額となる。
戻ってくるお金は?
控除額の25.8万円が返ってくればよいのだが、そう美味くはなく、
[課税所得額]×[税率]ー[控除額]=所得税額
[源泉徴収税額]ー[所得税額]=戻ってくるお金
が実際に戻ってくるお金となる。
税率と控除額は、課税所得額によって、下記表をもとに決定される。
課税所得額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円超695万円以下 | 20% | 42万7,500円 |
695万円超900万円以下 | 23% | 63万6,000円 |
900万円超1,800万円以下 | 33% | 153万6,000円 |
1,800万円超 | 40% | 279万6,000円 |
ここでも、僕を例として計算してみよう。
昨年の途中より休職しており、少ない自分の年収額を公表するので恥ずかしいが、致し方ない。
これを見られたら、婚期がさらに遅れちゃうよ...(´;ω;`)ウゥゥ
源泉徴収票をもとに、計算に必要な金額を抜粋している。
収入金額 | 4,363,217 |
所得金額 | 2,948,000 |
所得から差し引かれる金額(*1) | 1,502,196 |
課税される所得金額 | 1,445,000 |
源泉徴収税額 | 86,900 |
(*1) 所得から差し引かれる金額は、下記①②の合計額
所得控除の額の合計額(源泉徴収の額):1,243,486
医療費控除:258,710
まず、所得税額は、
[課税所得額]×[税率]ー[控除額]=所得税額より、
1,445,000 × 5% ー 0円= 72,250円となる。
それに、復興特別所得税額を足して、
72,250+1,517=73,767円となる。
次に、戻ってくるお金は、
[源泉徴収税額]ー[所得税額]=戻ってくるお金より、
86,900円ー73,767円=13,133円
となる。
以上より、
13,133円が手元に戻ってくるお金となる。
思っていたより安いが、戻ってこないよりマシと考えよう。
どのくらいの期間で振り込まれるの?
税務署のおっちゃん曰く、一般的に2週間後くらいになるとのこと。
ただ、事務処理次第では、早くなることもあるらしい。
僕の会社より、月末に傷病手当と、傷病見舞金が振り込まれる予定であり、それと同時期程度になる見込みで、月末の資金のやりくりが少し楽になりそうだ。
その他特典
医療費控除を行う特典として、お金がかえってくる以外に、もう1つ特典がある。
それは、翌年の住民税額が安くなるのだ!
住民税の税額は、所得に関係なく一律10%となっている。
そのため、医療費控除額×10%より、
258,710円×10%=25,871円となり、住民税が約2.6万円安くなる。
これは戻ってくる額よりも大きく、これはうれしい!
まとめ
- 歯を失った治療としてのインプラントは、医療費控除の対象となる。
- 医療費控除は、最寄りの税務署で行う。
- 医療費控除の手続きは難しくない。
- 医療費控除の申請により、お金がいくらか戻ってくる
- 医療費控除を受けると、住民税も安くなる
歯の治療費で医療費控除をうける場合の参考にして頂ければ幸いです。
今日も長々と話を聞いてくださって、ありがとうございました。
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