まさか、自分がウツになるなんて!

43歳男性、会社員(SE)が、仮面うつと診断されるまでの経緯、治療方法、健康回復にむけてやっていることなどを紹介いたします。 自分はウツとは関係ないと思っている方に、是非読んでいただきたいです。

「自分の考え」や「ネットの情報」は本当に正しいのか?「知識・考え」ではなく「体験」を信じよう。

僕は自分の考えや、ネットの情報などに左右されて、頭のなかがそのことで一杯となったり、行動が支配されることが多い人間だ。

 

新しいことを始める場合には不安や心配はつきものだ。

今までの人生でも、友人との交友関係、進学の問題、就職、仕事、転職。それぞれにおいて 色々と取り越し苦労をしてきたが、実際に蓋を開けてみると、ほとんどの不安や心配は杞憂に終わっていることが多かった。

反対に、自分の自己評価とは裏腹に、自分の事を高く評価していただける方々が多くいたことに驚きと喜びを感じ、そして自分の存在感に価値を見出して生きてきた。

その経験の副作用として、「高く評価して頂いている状況を維持しないといけない」、「きちんと生活しなければいけない」や「将来性ある人生設計をしないといけない」といったお堅い思考と行動が増えてきたように感じている。 

 

その思考は、主にネガティブなものが多い。

胸痛を発症してから休職にいたるまでの間に、頭のなかを占めていた考えは、以下のものが多かった。

1.現状の不安

 ①胸痛の発作によって、いつ発作が起きるかわからない

 ②不安定な状態できちんとした仕事の成果をだせるのだろうか

2.現状への心配

 ①不安定な身体状態で、職場、家族や彼女に迷惑をかけてしまう

3.将来への不安

 ①うつ病になったら結婚できないんじゃないだろうか

 ②復職しても胸痛や、うつ病の再発により、辞職することになるんじゃないだろうか

 ③彼女を幸せにできるのだろうか

等々

といったことである。

 

彼女との交際について、具体例をあげて、どういったことを考えていたのかを列挙する。

うつ病になるような精神状態の弱い人間は、

①将来性がない

②彼女を不幸にしてしまうのではないか、

③結婚すべきではないのではないか、

④一生独身でいるべきなのではないか

といった将来への不安や、心配を常に抱えていた。

その為、交際中も心は乱れており、心の底から平安を感じたことはほとんどなかった。

 

しかし、そういった不安や心配は、実際に彼女から言われたわけではなかった。

交際以外の不安や心配についても、自分が体験して実際にそうなったわけではなく、

「ネットで書かれている内容がそうだったから」

「周りの方からそういう話をよく聞くから」

といった自分の体験ではない、他者の意見や考えによって振り回されていることが多かったことに気がつくことができた。

 

自分自身で勝手に、理想の自分という「過大評価した自分」を作り上げて、そのあるべき姿でなければいけないと自分で思い込み、その自分で自分を縛り、苦しめてきたのだ。

現に、自らの考えに縛られる形で、今回の仮面うつの発症を起因として彼女とは別れている。

 

休職から約2ヶ月が経過して、自分がどれだけ「過大評価」した姿に踊られていたのかを気付くことができた。

①仕事はしていない

②彼女もいない

という、今まで手にしていたものを2つ失っているが、現在の自分が不幸であるかといえば不幸とは思っていないのだ。

この言葉だけ聞くと強がりを言っているだけだとか、自分で自分の心に嘘をついているとおっしゃる方もいるかもしれない。

それはそうだろう。

かくいう自分も数ヶ月前の自分であれば、何も持っていない人間が自分は幸せだと言っていたとしても、「嘘をついてるのではないか」、「見栄を張ってるだけなのではないか」という風に思ったことだろう。

 

しかし、現に大きなものを失ったとしても、その大きなものは本当に大きなものだったのだろうか?それは周りの人が大きなものだと言っているから、大きなものだと思っていただけなのではないだろうか?

 

世の中には彼氏彼女、夫妻といった伴侶によって、悩み苦しみを抱えている人が多いと聞く。ぼくも、彼女と交際していた時は、きちんとしたデートをしないといけないのではないか、彼女を喜ばせないといけない、彼女の言動に一喜一憂するといった縛りを自分にかけていたため、デートは楽しみもあったが、同時に、準備や言動に気を使う形でそれなりに疲労を感じていた。

仕事においても、ちゃんと仕事をしないといけないんじゃないか、後輩たちの手本とならないといけないのではないかと言った縛りを自分にかけていた。

 

今回、仕事と彼女の2つをともになくしたわけだが、休職して1ヶ月目はそのなくしたものをなるべく早い時期に手に入れようという「焦り」があり、その代償として、ネット婚活、在宅ワーク、Never まとめでのキュレーションサイトの作成を行ったりして小銭の稼ぎ方に躍起になっていた。

そうした形であくせくと動いていたときは、時間のながれが早く感じられ、充実感はあったが、心の安らぎ、平安、幸せといったものはまったく感じることはなかった。

 

本日、2017年12月31日、仕事と彼女がいないこの状況において、

「別にそれも悪くないと思っている」

「今の状況でも幸せだ」と感じているのだ。

その理由を言葉で説明するのが非常に難しい。

 

そう思えるようになったキッカケとして、下記はあるだろう。

1.まとまった収入があった

  冬季ボーナス、休職手当により、当面の資金の心配がなくなった。

2.ストレスが減った

  職場、彼女からのプレッシャーから解放された。

3.話しを聞いてくれる仲間がいる

  旧友、知人、心理士が自分の話を聞いてくれ、特別扱いされない安心感。

  うつになっても、仲間外れにされない安堵感。

4.マインドフルネス

 「今、ここ」に意識を向けるトレーニングによって、過去や将来のことに悩む時間が減ってきた。

 

 

「人間はゼロからのスタート」

「足ることを知る」

「少欲知足」

「人生は一冊の問題集」

こういった言葉を知ってはいたが、いわゆる頭の知識として持っていただけで自分の体験談としては実感ができていなかった。

しかし今回、仮面うつの発症、そして休職、彼女との別れを通して一気に何も持たない状態になった今、大いなる安堵感とともに、不思議と空虚感がなく幸せな日々を過ごせている。

 

これが2017年の体験、経験を通して、手にいれたもののなかで最も大きなものであったと感じている。

知識は体験を経て初めて、智慧となり自分のものになると言うが、それらの言葉が初めて身についた気がしており非常に幸せを感じている。

この幸せ感が本物なのか、それとも偽物なのか、今の自分ではわからない。

そして、いつまで続くのかを分からないが、明日から始まる2018年も様々な経験を通して、1つでも多くの智慧を身につけて、より良い年にしていきたいと思う。

 

皆さまも、よいお年をお迎えください。